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ギャンブルや投資の借金は自己破産でなくなる?裁量免責について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2020年7月28日

1 自己破産と免責

個人の方の自己破産手続では,最終的に免責決定を受けることが目的となりますが,破産法252条1項4号は,「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと」を免責不許可事由の一つとして規定しています。

パチンコ,競馬,競輪,競艇などのギャンブルが射幸行為(射幸とは,偶然に得られる成功や利益を当てにすることを意味します)に該当することは明らかですが,投資でも投機性の高い先物・オプション取引などは射幸行為に該当するものと思われます。

東京証券取引所に上場されている株式やETFを購入したり,株式や債券の投資信託を購入する行為は,必ずしも射幸行為に当たるとは言えませんが,投資金額によっては浪費に該当するという判断もあり得るでしょう。

2 免責不許可事由になるギャンブル・投資

上記条文をお読みいただければ明らかですが,ギャンブルや投資それ自体が免責不許可事由とされているわけではなく,ギャンブルや投資行為によって著しく財産を減少させ,または過大な債務を負担したという事情が必要です。

そのため,例えば借金から毎月3000円程度息抜きで馬券を買っていた,という場合は通常は破産法252条1項4号の免責不許可事由には当たりません。

わずかな金額でも借金をギャンブルに使っていたら破産はできない,と誤解している方もいらっしゃいますので,注意が必要です。

3 免責不許可事由に該当する場合

借金の全部または大部分をギャンブルや投機性の高い金融商品につぎ込み,失敗して借金だけが残ってしまったという場合は,破産法252条1項4号の免責不許可事由に該当するでしょう。

このような場合には,破産法252条2項の規定により裁量免責を受けることが可能かどうかを検討することとなります。

4 裁量免責

免責不許可事由に該当するギャンブルや投資があったとしても,裁判所は,自己破産の手続に至った経緯やその他の一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると判断した場合は,免責を許可する決定をすることができます。

まずここで念頭においていただきたいことは,最高裁判所の統計資料によると,平成23年に終了した10万7879件の自己破産事件のうち,免責不許可になったのは174件(0.16%)だけであるという点です。

もちろん,免責の見込みがないからそもそも申立てもしていないというケースや,免責の見込みがないため裁判所から免責申立ての取下げをうながされ,それに従ったというケースの存在も想定できますが,それを考慮しても,0.16%というのは極めて少ないといえます。

つまり,借金のほとんど全部をギャンブルにつぎ込んで返済できなくなってしまったとしても,よほどの悪質な事情のない限り通常は裁量免責になるということであり,過去の裁判例を見てもその傾向が見て取れます。

ただし,借金をギャンブルや投資に使ったことについて裁判所に対し虚偽の説明をした場合は,破産法252条1項8号の免責不許可事由(破産手続において裁判所が行う調査において,説明を拒み,又は虚偽の説明をしたこと)に該当する場合がありますので注意が必要です。

自己破産を弁護士に依頼する場合は,ギャンブルや投資について正直に話し,弁護士の指示に従うことが重要です。

5 弁護士への自己破産のご相談

弁護士法人心は,名古屋駅から徒歩2分のところに事務所があります。

借金をギャンブルや投資に使ってしまった場合でも,お一人で悩まずまずは当法人にご相談ください。

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免責について

個人の方が破産申し立てをする場合,その目的は,債務の免責を得ることであるのが一般です。

そのため,多くの方は,破産をした場合,自動的に債務が無くなると考えていることと思いますが,実は違います。

破産手続きと免責手続きは別個の手続きになりますので,免責を得るためには,免責手続きを経る必要があります。

以前は,免責について,破産手続きに協力した誠実な破産者に対する特別の恩典であるという考え方がありました。

このように考えれば,免責の付与は例外的な事態であり,免責制度を厳格に運用すべきことになります。

しかし,現在では,免責は,債務者の経済生活の再生のための手段を政策的に付与したものと理解されていますので,積極的な不誠実性が認められない限り,再起のための免責が与えられるよう,免責制度を柔軟に運用すべきこととされています。

そのため,本文に記載したような免責不許可事由がない限り,原則として免責が認められる運用になっています。

また,個人の自己破産申し立ての場合,債務者が破産手続開始の申し立てをした場合は,反対の意思を表示しないかぎり,申立と同時に免責許可の申し立てをしたものとみなされる等,免責手続きに移行しやすい制度となっています。

とはいえ,免責が得られるかどうかは微妙なケースもありますので,申し立てをする際には,債務整理に詳しい専門家に相談することが望ましいといえます。

名古屋周辺で債務整理を検討されている方は,お早めに当法人へご相談ください。

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