「債務整理」に関するお役立ち情報
税金を滞納している場合の債務整理
1 はじめに
借金でお悩みの方の中には日々の生活費の支払いや返済をするのが精いっぱいで、どうしても税金の支払いを後回しにせざるを得ず、不本意ながら税金を滞納してしまっている方もいらっしゃることと思います。
このように税金滞納している方が債務整理をするとどうなるのでしょうか。
2 税金滞納を放置した場合
各手続きの説明の前に税金滞納を放置した場合どうなるかを説明いたします。
まず、税金を納期限までに支払わないと、延滞税が発生し、その後役所から督促状が発送されます。
法律上、督促状を発送して10日後までに税金を完納しない場合には、滞納者の財産を差し押さえなければならないとされています。
そのため滞納が続きますと、役所は滞納者の財産を差し押さえる手続きを進めることとなり、ある日突然預金口座を差し押さえられて口座残高がゼロとなってしまったり、給料が差し押さえられたりするおそれがあります。
3 税金を滞納している場合の任意整理
任意整理は債権者と交渉して分割払い等の和解をまとめる方法であり、場合によっては利息を一部または全部カットしたり、一括支払による減額が認められたりすることがあります。
任意整理は、銀行や消費者金融、カード会社であれば、多くの貸金業者が交渉に応じてくれます。他方で、、税金については、減額や免除をしてしまうと、他の納税者との間で不平等が生じてしまうことから、基本的には減額や免除を受けることはできません。
税金を滞納している場合に、貸金業者等に対する債務の任意整理をするには、役所の担当と税金滞納分を分割して納める約束をしていただいたうえ、その額を納めてもなお貸金業者等への返済が出来る必要があります。
4 税金を滞納している場合の個人再生
滞納税金は一般優先債権に該当するため(民事再生法122条1項)、再生手続によらず請求された額を支払わないといけません(同条2項)。
すなわち、個人再生をしても、滞納税金については減額されることはないのです。
個人再生の手続きでは、減額された借金を分割で支払うことになりますが、裁判所はその支払い能力があるかどうかをかなり厳密に見てきます。
税金滞納を放置していると、預金口座や給料の差押えがされてしまう可能性があるため、そのままでは裁判所は個人再生の手続開始決定を下さず、又は再生計画を不認可とする可能性があります。
したがいまして、税金を滞納している方が個人再生をするには、役所との間で滞納している税金の分納合意をして、滞納分全額を返済する目途を立てるか、親族など第三者からの援助によって滞納分を完済する必要があります。
そして、滞納税金を分割返済する場合には、税金の分割払いと、個人再生によって減額された借金の分割払いを両立できなければなりません。
この点では、任意整理の場合と個人再生の場合は似ているといえるでしょう。
5 税金を滞納している場合の自己破産
自己破産し免責許可決定を受ければ、原則として債務は免責され、破産者は債務を返済する責任がなくなります。
しかしながら、滞納税金は非免責債権(破産法253条1項1号)に該当するため、免責されません。
そのため、自己破産をしても滞納している税金は全額返済する責任が残ってしまいます。
もっとも、自己破産が認められれば、借金の支払義務がなくなり、借金返済に充てていた分を滞納税金の返済に回すことができるようになりますから、滞納税金の支払い方法について、裁判所は個人再生の場合ほど厳密に見てこないことが多いように思います。
6 債務整理をお考えの方へ
このように、債務整理の種類によっては、税金を滞納していることが債務整理の障害になってしまうケースがあります。
弁護士法人心では、債務整理を得意とする弁護士が在籍しておりますので、どの債務整理の手続きが相談者の方にとって最適かアドバイスをさせていただきます。
名古屋で債務整理をお考えの方は、弁護士法人心にお気軽にご連絡ください。
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